アレルギーのなぜ・なに
乳児湿疹とアトピー性皮膚炎のちがいは

生後まもなくより、赤ちゃんの顔や頭に湿疹が出てくることがあります。頬のあたりに赤いポツポツとした発疹があらわれたり、頭皮の地肌や眉の部分に黄色いかさぶたがついているようになったり、また耳の後ろがジクジクしたりすることがあります。このような状態を乳児湿疹または乳児脂漏性(しろうせい)湿疹とも呼んでいます。こうした状態は乳児期特有で、多くは生後5か月頃には良くなっていきます。しかしこのような症状からアトピー性皮膚炎になっていくお子様も結構多くみられます
アトピー性皮膚炎の場合は、湿疹が首や体にもみられるようになり、皮膚がカサカサしてきます。このような状態になると赤ちゃんは痒みのために自分で顔をひっかいたり、顔をこすりつけてくるようになります。
アトピー性皮膚炎の特徴は皮膚のかゆみと乾燥傾向ですがアトピー性皮膚炎と診断するためには、このような症状が持続することが条件となり、それまではアトピー性皮膚炎と断定することはできないのですこのように乳児湿疹と乳児期のアトピー性皮膚炎の区別は実際にはかなりむつかしいのです


アトピー性皮膚炎の冬のスキンケアの注意点はどんなことですか

アトピー性皮膚炎の症状は季節によって変動します。夏にひどくなるお子様もいますが、冬に悪化する子のほうが多くみられます。これは冬になると湿度が低下して空気が乾燥するため、もともと乾燥しやすいアトピー性皮膚炎の冬の肌はさらに乾燥しカサカサになります。皮膚が乾燥するとかゆみを強く感じるようになり、すこしの刺激でもかゆくなってきます。これを掻くことにより皮膚の症状は悪化してしまいます。
これを防ぐにはまず皮膚の乾燥を防ぐことが第一ですが、アトピー性皮膚炎の状態になってしまうといわゆる保湿剤だけではあまり効果が得られませんので、寒くなる前から皮膚の保湿をこころがけることが大事です。またかゆみに対する対策としては、皮膚の温度が上がるとかゆみが強くなるので、ファンヒーターの熱風やこたつなどの輻射熱に直接あたることをさける、熱いお風呂や長湯はさけるなどの注意が必要です。また皮膚を刺激するようなけば立った衣類もさけるようにしてください。


アトピー性皮膚炎と食物アレルギーにはどのような関係がありますか

アトピー性皮膚炎の原因のほとんどが食物であると誤解されている方がおられますが、そうではありません。乳幼児とくに0歳児や1歳児では食物アレルギーが関係することは非常に多く、80~90%にタマゴや牛乳などの食物が関係しているといわれていますが、年齢が大きくなるにしたがって食物の影響は少なくなってゆきます。乳幼児期に食物アレルギーといわれたお子さんでも幼稚園や小学校に行く頃にはふつうの食事ができるようにあります。
一方、最近増加している成人型アトピー性皮膚炎では食物が原因であることはあまりありません。むしろハウスダスト、ダニなどのアレルギーや生活スタイルなどが関係するといわれています。したがっておとなのアトピー性皮膚炎では食事療法によって症状が改善することは期待できませんので、健康食品などを過信することは避けたほうがよいと思います。


乳児のアトピー性皮膚炎の症状はどんなものですか

アトピー性皮膚炎はいろいろな年代で発症しますが、小児科でもっとも多いのは生まれて1~3か月頃より症状の出現するタイプです。この時期のよくある症状としては顔面や頭部、耳の湿疹です。顔に赤い湿疹がみられ頬や耳がジクジクすることもあり、またそうでなくとも顔のカサカサが目立ちます。また頭部には黄色いカサブタがみられますが、おなかや背中などはこの時期では普通のことが多く、月齢がもう少しすすむとカラダの皮膚もかさかさしてきます。
乳児のアトピー性皮膚炎のもう一つの特徴は食物アレルギーが関係することが多いことです。なかでもタマゴのアレルギーが最も多く、タマゴの入った食品やタマゴを食べ続けている母親の母乳を飲むことによりアレルギーは徐々に進行していきます。タマゴなどの食品が関係しているかどうかは通常4~5ヶ月頃に血液検査をすることにより分かります。


スギ花粉の時期に顔が赤くなるのですが?

ふつうの花粉症は鼻症状、眼症状が主ですが、中にはこの時期に顔や首、眼のまわりが赤くなりかゆくなる人がいます。このような皮膚の症状がスギ花粉のアレルギーによって起きる場合をスギ花粉皮膚炎と呼んでいます。
スギ花粉皮膚炎の方には本来アトピー性皮膚炎がありスギ花粉の時期に悪化するタイプとアトピー性皮膚炎を伴わずにこの時期のみに顔、首などの皮膚炎がみられるタイプの二通りがあります。後者のタイプの人はもともとのドライスキンのために皮膚のバリア機能が低下しているためになりやすいといわれています。治療としてはどちらのタイプにしても外用薬と内服薬の併用が有効です。予防としてはスギ花粉を浴びないようにすること、外出後は石けんを使わないで洗顔し保湿することがたいせつです。


花粉症の低年齢化が進んでいるというのは本当ですか?

花粉症になっている人の年齢でもっとも多いのは30歳~40歳台といわれており、この年齢層では、大体4人に1人の割合でスギ花粉にアレルギーがあることがわかっています。小児では、5歳~9歳では7.5%、0歳~4歳でも2.1%のこどもがスギ花粉へのアレルギーがあるといわれています。またスギ花粉症のおとなとこどものグループを比較するとこどものグループのほうがより低年齢でスギ花粉症を発症していることが明らかになりました。
このように統計的にも花粉症の低年齢が示されていますが、実際、病院に受診してくるこどもたちにも以前より明らかにスギ花粉症は増えてきています。この原因についてはいろいろといわれていますが、最近の報告では乳児期のアトピー性皮膚炎のこどもがスギ花粉症になりやすいともいわれています。アレルギー・アトピーの病気はお互いに関連していますので、アレルギー性疾患の増加とともにこどもの花粉症も増えているともいえそうです。


アトピー・アレルギーは遺伝するのでしょうか?

アトピー・アレルギーということばは医学的にはほとんど同じ意味ですが、一般のかたがアトピーというときはアトピー性皮膚炎のことをさしていることが多いようです
いずれにしてもアトピー・アレルギーになりやすい体質は遺伝性があります。しかし親がそうであればこどもも必ずなるというほどの遺伝性はありません。ぜんそくやアトピー性皮膚炎は一つの原因でおきるわけではないので、遺伝子だけで決まることはありません。
しかし、アトピー・アレルギー性の病気はお互いに関連がありますので、たとえば親がアレルギー性のぜんそくを持っている場合、そのお子さんはぜんそくにもなりやすく、またアトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎にもなりやすくなるという事実はあります。このようなことからアレルギーを起こしやすくする遺伝子が存在することは確かなようです。


アトピーとアレルギーはどう違うのですか。

ことばの意味からいうとアトピーとは「奇妙な、よく分からない」、アレルギーとは「異なった反応」という意味で、医学的にはアトピーはアレルギーのなかの一部に含まれます。しかし最近は一般の人のあいだではアトピーというと、即アトピー性皮膚炎を指すことが多く、本来の意味と使われ方が違ってきています。そのために逆にアトピー性皮膚炎と診断されるとすぐに何らかのアレルギーではないかと考えてしまいますがアレルギーが証明されないアトピー性皮膚炎の人もかなりおられます特に成人型のアトピー性皮膚炎ではそのようなタイプが増えてきていますしたがってアトピー性皮膚炎であっても特定のアレルゲンがはっきりしないこともあり、アトピー=アレルギーではありません。
しかしアレルゲンが特定できないアトピー性皮膚炎でも、抗アレルギー薬でよくなることも多く、本当にアレルギーが関係していないかどうかははっきりしていません。このようにややこしい関係にあるアトピーとアレルギーですが、アレルギーの体質があるかどうかは検査でしらべることが出来ます。


アレルギーのある人でもインフルエンザなどの予防注射はできますか?

予防注射を受けようとすると必ず「アレルギーがありますか」という問診項目があります。アレルギーのある人はこのような質問をされると予防接種ができないのではないかと心配してしまいますが、実はそうではありません。この質問の意味は予防接種のワクチンの成分に対してのアレルギーがあるかどうかということですから、例えばぜんそくやアトピー性皮膚炎、花粉症などのアレルギー性疾患があったとしても予防接種は普通に受けられます。
しかし予防接種の種類によってはワクチンの中に卵の成分がわずかに含まれていることがありますので、卵アレルギーのある人は注意が必要です。このような注意が必要な予防接種はインフルエンザと麻疹(はしか)のワクチンですが、卵アレルギーがあったとしても事前にテストを行えば接種が可能なことが多いので主治医に相談して下さい。


食物によるアレルギーにはどんなものがありますか?

小児とくに乳幼児に多いアレルギーとして食物アレルギーがあります。実際の症状としては食物によるじんましん、湿疹・アトピー性皮膚炎、下痢などが主な症状ですが、ときには全身のじんましんとともに呼吸困難やショックになるアナフィラキシーという大変な状態になることもあります。原因として最も多いのはタマゴですが、牛乳、小麦、大豆などにより起きることもよくあります。また年長児ではソバによるアレルギーもしばしばみられます。
食物アレルギーは消化機能の未熟な乳児期におこりやすく、大部分は幼児期から学童期になれば自然に軽くなってきます。しかし食物アレルギーであることを知らずに原因食物を食べているとアレルギーが強くなるだけでなく、大量に食べると危険なことがあります。原因については食べたものと症状との関係でだいたいの推測ができますが、はっきりさせるには血液検査や皮膚テストを行う必要があります。


アレルゲンとは何のことですか。

アレルギーを起こす原因となる物質をアレルゲンと呼んでいます。アレルゲンがアレルギーを持つひとの体内にはいると血液中などにあるIgEという抗体と結合してアレルギー反応を起こします。アレルゲンには空気中に飛散して鼻や口から吸入される吸入アレルゲン、食べ物として消化器系より吸収される食物アレルゲン、皮膚に付着してアレルギー反応を起こす接触アレルゲンなどがあります。このほか注射薬や飲み薬として体内に入りアレルギーを起こす薬物アレルゲンもあります。
吸入アレルゲンの代表的なものはハウスダスト、ダニでありアレルギー性ぜん息の原因となるほか、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎も起こします。また皮膚に付着するとアトピー性皮膚炎の悪化の原因ともなります。スギや雑草の花粉も吸入アレルゲンですが、粒子が大きいため鼻や眼にとどまり鼻水、くしゃみ、眼のかゆみなどのおなじみの花粉症の症状を起こします。しかし吸入されても気管支には到達しにくく、ぜん息の原因にはなりにくいことが分かっています。


アレルギーかどうかをしらべるにはどうすればよいですか。

アレルギーによって起こる病気には気管支ぜんそく、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などいろいろなものがありますが、それぞれのアレルギーの原因の種類もちがいますので、まずアレルギーかどうかを調べる必要があります。
アレルギーの人の体内にはアレルゲンと呼ばれる原因に対する特異IgE抗体という抗体が作られます。この抗体ができているかどうかはいくつかの検査で調べられますが、よく用いられるのはRASTと呼ばれる血液検査です。これには100以上のアレルゲンがありますが、一度に出来る種類が限られており、疑わしいものを選んでしらべないと何度も採血しなければならず費用もかかります。これに対しスクラッチ(またはプリック)テストという皮膚反応でアレルギーを調べる方法では一度に10~20種類以上を調べられ、結果もすぐわかりますので採血の難しい小児にはよく用いられます。
このほか最近ではヒスタミン遊離試験という検査も出来るようになりました。また実際にアレルゲンを吸入したりする誘発試験もありますが、症状が起きてしまいますので通常はめったに行いません。


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