ぜんそく(小児・成人)

ぜんそく(正しくは気管支喘息)は、子どもの年齢で診断された場合は「小児ぜんそく」と一般には呼ばれていますが、実は成人の気管支喘息とまったく変わりません。ただし小児の場合、ぜんそくと診断されるまでには時間がかかることがありますので、最初から大人と同じと考えることは難しい点があります。また小児の場合は成長するにしたがって症状が改善し、全く治ったようにみえることもあるのも成人と違う点です。

ここでは「小児ぜんそく」と成人の「気管支喘息」とは分けて説明いたします。

●気管支喘息(小児)

喘息は、ゼイゼイ、ヒューヒューという喘鳴(ぜんめい)と呼吸困難(呼吸が苦しい感じ)を繰り返す病気です。

ヒトの空気の通り道は気道と呼ばれ、上から順に鼻と口、咽頭と喉頭(のどと首のあたり)、気管と気管支(胸の中にある管)、そして肺胞があります。気管支喘息は、この気管支の内側の粘膜で、分泌物(痰、たん)が増えるとともに、粘膜を囲む筋肉が縮むために空気の通り道が狭くなり、呼吸が苦しくなる病気です。狭い気道を空気が通るため、ゼイゼイやヒューヒューという音がします。このゼイゼイして苦しい状態を喘息発作と呼びます。ひどい喘息発作は、アレルギー反応やかぜのウイルスが原因で起きますが、喘息発作がないときでも気管支粘膜には、様々な異常が残っていて運動や冷たい空気などの刺激で喘息発作が起きやすくなっています。

喘息の治療は、苦しい呼吸を楽にする発作治療だけでなく、慢性気道炎症を改善する治療、(これを長期管理と呼びます)、が欠かせません。長期管理を行うことで、重症な喘息発作で入院するお子様の数は劇的に減りました。

咳が長引いたり、ゼイゼイを繰り返している幼児や、運動時にゼイゼイして息切れが激しい小学生は、喘息かもしれませんので主治医にご相談ください。

●気管支喘息(成人)

気管支喘息は、息をする時の空気の通り道(気道)に、慢性の炎症がおき、そのために気道がせまくなり(気道狭窄)、繰り返し咳や、ゼーゼーヒューヒュー音がする喘鳴、呼吸困難が生じる呼吸器系の病気です。この気道狭窄は、自然に、あるいは治療により、元の状態に戻りますが(可逆性と言います)、治療をせずに放置すると、あるいは自己判断で治療を中断すると、繰り返し起きる炎症により、気道の構造が変化し(リモデリングと言います)、元の状態に戻らなくなってしまいます。そうなると、喘息症状はより起きやすく、より重くなるので、早めに適切な診断を受け、早く治療を始める必要があります。

気管支喘息の慢性炎症は、好酸球やリンパ球、マスト細胞などの白血球と、気道を構成する細胞(気道上皮細胞や平滑筋細胞など)が関係して、さまざまな原因物質(アレルゲン)や環境変化に対し、過敏に反応するようになります。アレルゲンには、ダニやハウスダスト、イヌやネコなどの動物のフケや毛など、さまざまありますので、これらに対し、アレルギー反応があるかを調べるIgE抗体検査があります。しかし、アレルゲンが分からない場合や、気候などの環境変化、ストレスやアルコールなどでも生じ、喘息の原因は複雑ですので、専門医によく相談すると良いでしょう。

●気管支喘息の治療

成人の方の気管支喘息の慢性炎症に対しては、吸入ステロイド薬が最も効果があり、最初に用いる主軸の薬になります。吸入薬ですので、吸入器具を正しく用い、効果的な吸入を行う必要があります。気道狭窄に対し、さまざまな気管支拡張薬も用いますが、不明な点は、専門医によく相談すると良いでしょう。
(参照:日本アレルギー学会HP)